LiDARの第三世代となるモデルもお披露目された
日本初出展となったのが、EV非接触充電システム「ヴァレオ・イニーズ・エアチャージングシステム」である。これは充電ケーブル不要の無線給電技術で、約3kHzの超低動作周波数を使う業界唯一のシステムだ。
よりシンプルで軽量、そして安全に充電できる環境を提供できるのが特徴となる。様々な国で使えるよう互換性も確保し、電力出力は7kW〜22kWに対応するが、ヴァレオとしてまず普通充電並みの出力である7kWから投入していく計画だ。
さらにEVのバッテリーから電気を取り出し、電力網インフラとして活用できる「V2G」にも対応している点も興味深い。
会場ではADASの進化において重要な役割を果たすLiDARの第三世代モデル「SCALA3」も披露された。そのラインナップは、ルーフへの取り付けを想定した高性能な「SCALA3 SATELLITE」と、グリルなどに埋め込むコンパクトな「SCALA3 SMART」の2タイプ。
注目したいのが大幅に向上した解像度だ。たとえばSCALA3の普及版となるSMARTでも、その解像度はSCALA2の約10倍の260万。SATELLITEではなんと50倍近い1250万にも達するという。
これによって、高解像度なデータが収集できるようになれば、AIによるオブジェクト認識でも大きな力を発揮することになる。ヴァレオはこのSCALA3と検知した物体を判別可能にするソフトウェアまでも開発し、トータルでサポートしていく考えだ。
サーマルカメラに可視光カメラを組み合わせた新技術
ヴェレオでの出展では「サーマルカメラ」も注目された。熱を検知して温度分布を可視化できるこのカメラの特長を活かし、歩行者や動物などを検出するが、この機能自体は決して珍しいものではない。
ヴァレオではこの機能に可視光カメラを組み合わせることで、可視化性能を飛躍的に向上させたのがポイントとなる。会場ではその効果がわかるデモも実施し、可視光カメラだけでは捉えられない被写体を鮮明に捕捉する状況を披露した。
また、この「サーマルカメラ」は、LiDARやミリ波レーダーなど他のセンサーとの組み合わせも可能にしており、用途に応じた幅広い展開に対応している点も関心を集めていた。
今回の出展では、二輪車向けADAS「アドバンスド・ライダー・アシスタントシステム」の出展も興味深かった。これは単眼カメラを使って前方を検知し、障害物や前方車両への接近を警告して事故を未然に防止するものだ。
ただ、四輪車のように自動ブレーキなどは作動させることはしない。これは、二輪車においては、突然の制御によって転倒する危険性が高くなってしまうからだ。とはいえ、今後はオートハイビームや道路標識認識、車線逸脱防止などへの対応も進めていく予定だという。
二輪車関連では、「48Vスモールモビリティモータージェネレータ」を二輪車の電動化に活用するシステムも展示された。ヴァレオはこれまでこのジェネレータを都市向け小型モビリティ用として展開してきたが、小型軽量であることを活かして2輪車のフレームへの搭載も可能にした。
最大出力は8kWの48V空冷式モーターとなっており、すでに試作モデルも出展。今年1月に開催されたCES2024では試乗することもできた。ヴァレオによれば市販も視野に入れて準備を進めているという。