ヒョンデ(現代自動車)グループの一員として、地元・韓国を始め、北米、欧州ほか世界中で評価が高まっているのがキア(起亜自動車:Kia Motors)だ。現在はEVシフトを急加速させるとともに、より上級車指向を強めている。2021年に発表された初のEV専用車「EV6」は、各国の自動車関連章典を次々に受賞するなど高い評価を獲得している。(タイトル写真はEV6 GT)

キアは日本未発売ながらEV戦線の最先端を走る

現在は日本を除く世界中で販売されている「キア」。かつてはマツダやフォードと協業関係にあり、1989年には韓国メーカーとして初めて東京モーターショーにも出展した。現在はヒョンデ傘下となり、発売されるモデルはそのコンポーネンツの多くをヒョンデブランド車と共用している。

ヒョンデはすでに日本に再上陸を果たしているが、キア(と現代グループのジェネシス:Genesis)は現在、日本での正規販売はない。名前は聞いたことがあってもクルマは見たことがない、という日本では知る人ぞ知るブランドになっている。

「EV6」は世界が認めた次世代EVのトップランナー

そんなキアがEVシフトを急加速させている。その端緒となったのが、同社初のEV専用車として誕生した「EV6」だ。次世代EVプラットフォーム(E-GMP)をはじめ、構造的にはヒョンデのアイオニック5と多くを共用するものの、そのスペック、デザイン、パッケージは大きく異なる。

画像: 新世代のEV専用車第一弾がEV6。これは最強グレードの「EV6 GT」。

新世代のEV専用車第一弾がEV6。これは最強グレードの「EV6 GT」。

トップグレードの「GT AWD」は、全長4694×全幅1890×全高1544mm、ホイールベースは2900mm。搭載バッテリー容量は77.4kWh。最高出力は430kW(576hp)、最大トルク739Nmというハイスペックを誇る。

800Vでマネジメントされており、350kW急速充電器ならわずか18分でSOC10-80%の充電が可能だ。0-100km/h加速は3.4秒、最高速は260km/hという俊足を誇る。

北米で展開するグレード構成は、RWDのベーシックモデル「Light RWD」から上述の「GT AWD」まで8モデル。また、全グレードが最大3.6kwを給電可能なV2L機能(外部給電機能)を搭載しており、120V/240Vのいずれにも対応している。
 
2021年春に本国で発表されて以来、欧州カー・オブ・ザ・イヤー2022の受賞を皮切りに、各国で開催される賞典を次々に受賞しており、その優れた性能とパッケージに賞賛が集まっている。

最新モデル「EV9」はフラッグシップSUV

2023年12月時点の最新モデルが、3列シート・ラージクラスSUVの「EV9」。本国を始め、欧州、北米、中国などでも発売予定だ。6人乗りと7人乗りがラインナップされ、全長5014×全幅1980×全高1781mm、ホイールベース3100mmという堂々たる体躯を誇る。

画像: 3列シートのフラッグシップSUVが「EV9」。3列シートで6人乗りと7人乗りを選べる。

3列シートのフラッグシップSUVが「EV9」。3列シートで6人乗りと7人乗りを選べる。

駆動方式はRWDまたはAWDで、搭載バッテリー容量はRWDモデルが76.1kWh、ロングレンジモデル(RWDまたはAWD)が99.8kWh。RWDの駆動モーターは最高出力160kW(215hp:AWDロングレンジ車は150kW<201hp>)と最大トルク350Nmを発生し、AWDのGTグレードは283kW(380hp)/600Nmとケタ違いにパワフルな性能が与えられている。もちろん、EV6と同じく外部給電機能も搭載している。

未来を変える画期的なシステムも開発

去る2023年11月12日に韓国ソウル市で開催された「Kia EV Day」では、今後市場投入するEV、3モデルのコンセプトカーを発表した。すでに発売されている2モデルに加え、コンパクトクラスSUVの「EV3」、4ドアクーペの「EV4」、ミッドサイズSUVの「EV5」が並んだ景色はなかなか壮観だ。

画像: コンパクトSUV市場に投入される「EV3」。日本でも発売されれば人気が出そうだ。

コンパクトSUV市場に投入される「EV3」。日本でも発売されれば人気が出そうだ。

さらに11月29日には、ヒョンデと共同開発したまったく新しい駆動システム「ユニ・ホイール(ユニバーサル・ホイール)ドライブ・システム」も発表した。

いわゆるインホイールモーターと異なり、モーターは車体側に残しつつ、ホイールの内部に減速ギアほか駆動部品を配置する技術であり、車両の空間利用効率が飛躍的に高まる。

画像: 右がユニ・ホイール採用車。左側の現行モデルと比べるとスペース効率の差は歴然としている。

右がユニ・ホイール採用車。左側の現行モデルと比べるとスペース効率の差は歴然としている。

実車に搭載されるまでに、まだしばらく時間はかかりそうだが、革新的かつ汎用性の高いシステムであることは間違いない。実現すれば、「クルマのカタチ」が抜本的に変わる可能性もある。

日本上陸のうわさはまだ聞こえてこないが、すでに欧米を中心にEVメーカーとしての地歩を固めているキア。その急速な変化はこれからさらに加速していきそうだ。

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