欧州のEVシフトは既存の自動車メーカーが中心。スタートアップは技術開発企業が中心となっているものの、実は自動運転EVシャトルの開発では世界の最先端を走っている。そのリーディングカンパニーのひとつが、エストニアの「Auve Tech(ウーブテック)」だ。EVシャトルのほか、自立輸送システムの開発・製造も行っている。(タイトル写真は最新モデルの「MiCa[ミカ]」)

大学プロジェクトを起源にわずか2年でプロトタイプを作成

ウーブテックは、エストニアのタリン工科大学の学生プロジェクトを起源とするスタートアップ企業。2018年に同校の創立100周年を記念して自動運転車のプロトタイプを製作したのが始まりだ。

同年にはAuve Tech社が設立され、2020年夏にはエストニアの公道で初のレベル4相当の自動運転EVシャトルバス「Iseauto(イセオート)」の実証実験が始まった。その後、フィンランドなど北欧各国でテック企業と運行管理やサービス体制の協業を進め、現在は欧州を中心に各地で導入実績を増やしている。

画像: ウーヴテックが初めて量産した自動運転EVシャトルバス「Iseauto(イセオート)」。

ウーヴテックが初めて量産した自動運転EVシャトルバス「Iseauto(イセオート)」。

ちなみにイセオートは改良を重ねて引き続き各国で運行されている。現行モデルは8人乗りで、バッテリー容量は16kWh。後輪駆動でモーター出力は25kW、最高速は25km/hと発表されている。4つの外部カメラと3つのLiDARによって構成される自動運転システムにより、あらかじめ設定されたコースを自動で移動する。

画像: 「Iseauto(イセオート)」はギリシャやポーランドほか欧州を中心にラストワンマイルのモビリティを支えている。

「Iseauto(イセオート)」はギリシャやポーランドほか欧州を中心にラストワンマイルのモビリティを支えている。

最新モデル「ミカ」の実証実験が日本で始まる

その最新モデルが2022年10月に発表された新世代自動運転シャトルの「MiCa(ミカ)」だ。全長4200×全幅1850×全高2500mmの8人乗りの後輪駆動EVである。17.6kWhのバッテリーを搭載し、最高出力41kWのモーターで駆動される。最高速度は25km/hだ。

搭載される自動運転システムは、360度ビューの外部カメラ10台、LiDERセンサーが合計7台、さらにレーダーやGNSSによって構成されている。イセオートに比べ大幅に強化されたセンサー類、そして駆動システムにより、さらに安全な自動運転と安定した走行性能を実現している。

画像: カメラやLiDERが増設されて、より細かなセンシングが可能になった「MiCa(ミカ)」。100m先の障害物も検知する。

カメラやLiDERが増設されて、より細かなセンシングが可能になった「MiCa(ミカ)」。100m先の障害物も検知する。

実はMiCaの開発には日本企業「BOLDLY(ボードリー)」も深くかかわっている。両社は2022年10月に提携を発表したが、日本国内での自動運転サービスに関するノウハウをボードリーが提供、それをもとにウーブテックはMiCaのオペレーション機能を作り込んでおり、その普及に向け日本の国内各地で実証実験が始まっている。

物流、人流ともにラストワンマイルのモビリティ需要が世界的に高まるなか、ウーヴテックに寄せられる期待も日々高まっていると言えるだろう。

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