2023年10月26日、ヤマト・インダストリー株式会社と株式会社IATは「ジャパンモビリティショー(JMS)2023」に合同で出展、そこで日本市場導入予定のEV商用バン「JEMY EV48」と、フルサイズのEVピックアップトラックのコンセプトモデル「T-MAD」を公開した。EV商用バンは市販化が決定しており、日本市場に合わせた専用仕様となる。

新星EVブランド「JEMY」

ヤマト・インダストリー株式会社は1937年創業で、樹脂部品及び物流機器の製造・販売を行っている。また、同社と資本・業務提携している株式会社IATは、2001年に日本で創業した自動車エンジニアリング会社で、現在では中国最大の自動車開発代行企業に成長しており、今回発表したEVも、同社が開発・製造する。

画像: IATのコンセプトモデル「T-MAD」

IATのコンセプトモデル「T-MAD」

「JEMY」ブランドは「Japanese Electric Mobility by Yamato Industry」の頭文字から来ており、「日本の電動モビリティ文化をヤマト・インダストリーが変えて行く」という思いが込められているという。

出展モデルの概要

JEMY EV48(市販予定モデル)

EV48は中国のスタートアップ企業「金琥汽車(JENHOO Auto)」が2023年春から量産を開始したEV商用車に、日本市場で求められる仕様変更を加えたものだ。

構想段階からEV商用車として最適化され、リヤモーターによる後輪駆動、バッテリーの車両中央配置、ロングホイールベース、ショートオーバーハング、完全フラットフロアなど、物流を担う商用車にふさわしい設計が施されている。

画像: 日本仕様では専用装備のスーパーハイルーフ化により、立ったまま荷物の積み下ろしができる

日本仕様では専用装備のスーパーハイルーフ化により、立ったまま荷物の積み下ろしができる

また、人員輸送用途を考慮せず100%貨物用途に割り切ることで、サイドパネルは窓枠プレスが一切ないスムーズな形状となり、広大で自由なラッピングを可能としたほか、運転席/助手席と荷物室を完全に隔離できる引き戸式のパーティション、長尺物でも側面から積み降ろしが可能な助手席側Bピラーレス構造と大開口スライドドア、ワンタッチで作業机に変身する助手席などにより、物流現場に特化した仕様となっている。

さらに、日本向けでは、スーパーハイルーフ化により、貨物配送業者が前屈みになることなく、立ったままで荷物室内を移動できるようになっており、宅配でよく用いられる140サイズのダンボールが4個縦に積めるという利便性にも繋がっている。

画像: 140規格のダンボールが縦に4個積める

140規格のダンボールが縦に4個積める

●全長×全幅×全高:4860×1750×2420mm
●ホイールベース:3160 mm
●乗車定員:2名
●最大積載量:1.375t(中国仕様日本法規に準じる)
●最大出力:60 kW
●モーター定格/最大トルク:200Nm / 300Nm
●バッテリー容量:40.55 kWh
●航続距離:305km(CLTC)

T-MAD(コンセプトモデル)

T-MADは、日本初公開となるフルサイズピックアップトラックのコンセプトモデルで、IAT独自開発の大型EVプラットフォームを採用し、合計600kWの高出力モーターをフロントとリヤに1基ずつ搭載している。一充電あたり600kmの航続距離を確保し、拡張バッテリーの追加により最大800kmまでの走行が可能になるという。

デザインはIATデザインと長年日産デザインを牽引した中村史郎氏率いるSN DESIGN PLATFORMが共同で行った。デザインコンセプトは「未開の地を走破するスペースシップ」で、大開口のピラーレス観音開きドアを持つ大胆なフォルムが特徴的で、乗り込み時には乗降用のステップがせり出し、さながら宇宙船のような雰囲気を醸し出す。

画像: 階段式ステップとコクピットのような内装で、宇宙船感を演出

階段式ステップとコクピットのような内装で、宇宙船感を演出

インテリアは、コクピット感のあるセンタードライビングポジションとユニークな菱形シートレイアウトが採用され、ロングスライド&回転シートなどによる多彩なシートアレンジが、快適なコミュニケーション空間を演出している。

●全長×全幅×全高:5878×2198×2029mm
●ホイールベース:3622mm
●乗車定員:5名(1+2+2)
●最大出力:600kW(前後輪合計)
●0→100km/h加速:4.0秒
●航続距離:600km(拡張バッテリー追加で800km)
●自動運転:レベル4対応

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