日本の道に最適化された軽BEVがさらなる進化
カーボンニュートラルに向けた動きが加速する中、日本の交通環境に適した「軽自動車サイズのBEV」に注目が集まっている。そうした市場の牽引役を担ってきた三菱の「eKクロスEV」に、商品力を大きく引き上げる一部改良が施された。
今回の改良では、その持ち味である優れた走行性能はそのままに、デザイン面と機能面の両方でブラッシュアップが行われた。

新型のスタイリング。空力性能も意識されたルーフスポイラーや、すっきりとしたリヤまわりにも注目。
新しいeKクロスEVでまず目を引くのは、クリーンな印象を与えるエクステリアデザインの刷新である。フロントフェイスは全体がシームレスで連続性のある形状へと改められ、エンジンを持たないBEVならではの先進的なイメージが強調されている。
フロントグリルにはLEDイルミネーションが新たに採用され、夜間の表情に知的な存在感をプラスしている。さらにホイールアーチやサイドシルのガーニッシュがボディ同色に変更されたことで、全体として柔らかく統一感のある塊感が表現された。

今回の一部改良前のエクステリア。ダイナミックシールドデザインを強調するように、メッキ加飾を多用したフロントフェイスは、新型の洗練された造形と好対照だ。
ボディカラーは新たに、自然を感じさせるナチュラルカラーや明るくクリーンな印象を与える2トーンカラー5色とモノトーン2色が追加された。これにより全11色という豊富なラインアップとなり、多彩なライフスタイルに応えている。
アウトドアから災害時まで頼れる1500W電源と充実の装備
今回の改良で特筆すべきは外観の変更にとどまらず、車内での時間を豊かにし、車両の用途を根本から拡張する実用装備の追加である。その筆頭が、インストルメントパネル下部に新たに設定されたアクセサリーコンセントだ(メーカーオプション)。

開放的な視界を提供する水平基調のインパネ。タッチ式空調パネルなど、直感的に操作できるUIも魅力的だ。
最大1500Wまで対応するAC100V電源により、駆動用の大容量バッテリーに蓄えられた電力を、そのまま家電製品に供給することが可能となった。これにより、キャンプなどのアウトドアシーンで電気ケトルやホットプレートなどを利用できる。
また、万が一の停電や災害時には心強い移動式の非常用電源としても機能する。さらに、車内でスマートフォンやタブレットを充電する機会が増加している現代のニーズに応え、上級のPグレードは充電用USBポートを増設し、タイプCが2口、タイプAが1口という構成となった。
複数のデバイスを同時に充電しやすくなったほか、冬場のドライブを快適にするステアリングヒーターやフロントシートヒーターが、中間グレードであるGグレードにも標準装備された。リヤシートアラートの追加など、安全と快適さを支える細やかな配慮が随所に見られる。
補助金活用で200万円を切る価格設定が後押しするBEV普及
魅力的な装備が多数追加された新しいeKクロス EVであるが、普及の鍵を握る価格設定の面でも競争力は維持されている。車両価格は244万6400円〜321万4200円に設定されており、充実した装備内容を考慮すれば十分に納得のいく水準だ。

新型eKクロス EVの価格は、Gビジネスパッケージが244万6400円、Gが266万2000円、P(写真)が321万4200円。東京都在住の場合、国の補助金57万4000円と都の補助金最大80万円を活用すれば、最大137万4000円もお得に買える。
さらに、このモデルは令和7年度補正予算による「クリーンエネルギー自動車導入促進補助金」の対象車種となっている。これにより57万4000円の補助が受けられるため、各種税金や諸費用を除いた実質的な購入額はもっとも手頃なGビジネスパッケージで187万2400円からとなる。
200万円を切る価格で最新の軽BEVを手に入れられる事実は大きい。地域によっては独自の自治体補助金を重ねて活用できる場合もあり、導入のハードルは想像以上に低い。
また、従来モデルから評価されている日常使いに十分な航続距離180km(WLTCモード)を確保しながら、静かで力強い走り、そして高い利便性とデザイン性を兼ね備えている。
これらの要素を高い次元で融合させた新型eKクロス EVは、軽BEV市場のさらなる拡大を後押しする存在となりそうだ。


