電動バイクにペダルがついた乗り物「モペッド=(motor+pedal)」は従来もあったが、合法的に自転車モードにできるものは存在しなかった。そこに登場したのがglafit社の「GFR-02」。画期的な発明により、日本で初めてモードを切り替えて走行できる日本初のバイクなのだ。

今までの“ペダル付き”電動バイクと7月に誕生する「特定小型原付」の違い

従来型ペダル付電動バイクの欠点は、たとえモーターを使わずにペダルのみで走る“人力走行時”でも法的には「電動バイク」扱いとなってしまうことにあった。

これが何を意味するかというと、バッテリー切れや自転車として歩道を走行したい場合でも、道路交通法上では原付に分類されるため、車道を走る必要があり、不便を強いられていた。

また、原付扱いなことで自転車置き場に駐輪できない(バイク駐輪可能な場所でないとダメ)ということも面倒であったことから、利便性の点で自転車に置き換わる存在にはなり得なかった。

しかし、glafit社が開発したペダル付電動バイク「GFR-02」に、別売りオプションパーツの「モビリティ・カテゴリー・チェンジャー(以下、モビチェン)」を取り付けた場合、なんと、電動バイクと自転車という2つの車両区分の切り替えが法的に認められることになった。

これは実証実験を行い、警察の承認を得て正式に通達も出されており、異なるカテゴリーの車両区分を行き来できるモビリティとして日本初だそうだ。特定小型原付の法改正でも、6km/hの歩道走行モードと20km/hの車道走行モードを切り替えできるとなると利便性はかなり高い。今後、こうした異なるモードを切り替えて走行するモビリティは注目されるだろう。

画像: 警察によって法的に認められた初めての二刀流バイク「GFR-02」

警察によって法的に認められた初めての二刀流バイク「GFR-02」

バイクと自転車を切り替え可能な最新技術「モビチェン」

モビチェンは、警察庁の指導を受けながらglafit社が開発した専用の機構。自転車モードを装って電動バイクモードで走行することがないような仕組みになっている。

電動バイクから自転車にするには、まずバイクの電源をオフにして、車体をおり、ナンバープレート部分の左にあるスイッチを押しながら右の物理ボタンを押し、プレートカバーを引き上げるという手順を踏む必要がある。

画像: 「モビチェン」機構は走行中の切り替えが不可能なシステムになっている

「モビチェン」機構は走行中の切り替えが不可能なシステムになっている

これはバイクに乗ったまま片手で操作できないように、あえて複雑なステップにしているのだ。また、この機構は駆動用バッテリーから電源供給を受けており、バッテリー切れ状態では操作することができなくなってしまう。

万が一バッテリーが切れた時には、モバイルバッテリーなどからマイクロUSB端子経由で給電することで動作可能だが、そもそも歩道走行モード、人力自転車モードに切り替える状況というのは電池切れギリギリで、後述するが電動モードの航続距離が34kmと短いことを踏まえると、いささか心もとないというのが正直な感想である。

自転車から電動バイクへの切り替えは、モビチェンの左ボタンを押しながら右ボタンを押すとナンバープレートカバーが下がり、バイクの電源が自動的にオンになる仕組み。注意点としては、電源オン時にはECOモードが選択されており、そのままだとペダル走行モードとなっているので、MIDモード、またはHIGHモードの電動バイクモードに切り替える必要があることだ。

画像: 右手のグリップ付近に液晶画面があり、ドライブモードの変更や速度・電池残量の確認ができる。

右手のグリップ付近に液晶画面があり、ドライブモードの変更や速度・電池残量の確認ができる。

軽自動車にそのまま積載可能、折りたためば輪行もできる

「GFR-02」の全長は1280mmなので、コペンやS660などの特別な軽自動車を除いたほとんどの軽自動車に、折りたたむことなく積むことができる。また、折りたためばかなりコンパクトで重量も19kgほどと軽量なので、トランクへの積載はもちろん、輪行も可能なサイズ、重量感と言えるだろう。

気になる電動走行可能距離は約34km(MIDモード・体重50kg・25km/h定速走行時)と短めに感じる。一部の電動原付バイクは70km走行できるものもありますが、このサイズの電動原付バイク、特に折りたたみ可能なタイプはどれも20~30km程度であるようだ。

画像: 軽自動車の後部座席前にそのまま積めてしまうコンパクトさ。

軽自動車の後部座席前にそのまま積めてしまうコンパクトさ。

この種類の電動折りたたみバイクとして考えれば、自転車モードにして人力でも移動できることを考えれば大きなデメリットではないとも考えられる。しかし、前述のとおり自転車モードへの切り替えにはバッテリー残量がある、もしくはモバイルバッテリーで給電する必要があるという大きなデメリットは依然として不安材料である。

今後、電動走行モードから自転車モードの切り替えに関しては電源不要でできるシステムを是非とも開発していただきたいものだ。

自転車モードのメイン利用は非推奨。電動アシストモードでは歩道走行不可

ギアがなくタイヤサイズが14インチであるため、ペダルを漕いでもママチャリほどは速度を出せない。折りたたみ自転車全般に言えることだが、電源を切って純粋な自転車としての利用をメインにするのは微妙かもしれない。

それなら、電動アシスト自転車としては使えないのかという疑問が出てくる。残念ながら、電源オン時には自動的に原付扱いになるシステムになため、歩道で電動アシストモードを使うことはできない。今後の技術開発に期待しよう。

画像: 走行感覚は自転車で坂道を下っている時のあの感じ。ギアがないのでバッテリー切れ時の登り坂はきついかも。

走行感覚は自転車で坂道を下っている時のあの感じ。ギアがないのでバッテリー切れ時の登り坂はきついかも。

一方、歩道での自転車モードを諦めて公道での原付モード時にペダルを漕ぐ場合、電動アシスト自転車と異なり24km/hでモーターアシストが切れずにモーター+人力のデュアルパワーとなるので、電動原付が登れない急坂でも登坂できる。

この折りたたみバイクのサイズ感で、しかも電源をオフにすれば法的に自転車としての走行ができるペダル付電動バイクという点で、画期的な商品であるのは間違いない。

夜間の「自転車モード」でも走行可能。ただし電池残量には要注意

防犯対策の機能として後輪に指紋認証式のロック装置がついており、最大20個まで指紋を登録可能。こちらは、バイク本体の駆動用バッテリーとは別のバッテリーで動作する形式で、充電用にマイクロUSBソケットを装備する。

画像: 車体後部のナンバープレート(モビチェン機構)の下に指紋認証式ロックを装備する。

車体後部のナンバープレート(モビチェン機構)の下に指紋認証式ロックを装備する。

また、自転車モードではバイク本体の電源を入れずとも、前照灯含む灯火類を使用することができるようになっているので夜間の走行も安心して行える。駆動用のバッテリーから電力を供給している関係で、夜間の走行中に駆動用バッテリーが切れてしまった場合、自転車としても走行できなくなってしまうことには注意が必要。

対策として、バイク本体の電源をオンにすると液晶メーター部分に駆動用バッテリーの残量が表示されるので、これをうまく活用するとよいだろう。電池マークの本数と電池残量が極端に少ない場合に警告が点滅表示されるため、夜間走行時にこの点滅表示になった時には、自転車モードに変更して灯火類を点灯できる状態にしておくということである。

充電に関しては、本体にバッテリーを装着したまま、もしくは取り外して充電するスタイル。家庭用の100V電源から2~3時間で充電可能で、バッテリーの重さも1.8kgとそこまで重くないため、航続距離に不安がある人は追加でバッテリーを購入して持ち運ぶこともできる。

画像: 取り外しても充電できる。物理キーでロックがかけられるので盗難対策もなされている。

取り外しても充電できる。物理キーでロックがかけられるので盗難対策もなされている。

肝心のモビチェン機構は、標準装備ではなく純正アクセサリーとして販売し後付けする方式がとられ、価格は2万7500円(税込・取付工賃別)となっている。

そのほかの純正アクセサリーとして、リアキャリアやバイクカバー、輪行用のバッグなどもラインナップされている。

まとめ

グッドポイント
●持ち運び可能なサイズ、重量(軽自動車に折りたたまずに積める)
●電池切れでも人力走行できる
●自転車モードにすれば、自転車駐輪場に置ける
●純正で指紋認証式のロックが付いている
気になるポイント
●電池切れ時にライトが点かない
●電池切れ時にモビチェンが使えない
●指紋認証式ロック用バッテリーは駆動用と別なので、充電に手間がかかる

■glafit GFR-02 主要諸元

●全長×全幅×全高:1280×535×1040mm(展開時)、750×500×600mm(折りたたみ時)
●車両重量:19.4kg
●最高出力:0.25kW
●バッテリー総電力量:345.6Wh
●航続距離:34km
●駆動方式:RWD
●タイヤサイズ:14×2.125
●車両価格(税込):27万5000円

■純正アクセサリーラインナップ

モビチェン:2万7500円
リアキャリア:1万4300円
USB充電器ST:6600円
メーターカバー:1650円
スマートフォンホルダー:6600円
バイクカバー:7700円
折りたたみ式輪行ソフトバッグLG:1万2100円

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