二社の連携により、シェアリングモビリティの利便性が更に向上
現在、日本の都市部では交通渋滞やCO2削減、オーバーツーリズムなどに対応した、持続可能な都市づくりに向けた対応が急務となっている。
そのような状況の中、国内ではOpenStreetが「HELLO CYCLING」を通じて全国約11,300カ所のステーションと約50,700台の自転車を展開し、地域に根ざした利便性の高いサービスを提供している。一方のLimeは海外の約30カ国で事業を展開し、数億回以上の利用実績と欧米豪を中心に幅広いユーザー基盤を有するなど、世界最大級の電動モビリティネットワークを構築している。
今回の両社の提携に伴い、相互利用の開始後は両社のアプリが連携し、それぞれのアプリから双方の車両を自由に予約、利用、返却できるようになる。これにより、地域住民、高齢者、訪日観光客といった多様な利用者に、より使いやすい「ラストワンマイル」の移動手段が提供されることとなる。
「Lime」が電動アシスト自転車を初導入。交通マナー・ルールの啓蒙にもさらに注力。
今回の業務提携に伴い、「HELLO CYCLING」からは、最も利用されている「シティサイクル」と、2023年より導入しているスポーツタイプの「KUROAD Lite」の2車種が利用可能な車両として発表された。
「シティサイクル」は、一般的なママチャリタイプの電動アシスト自転車。対する「KUROAD Lite」は軽量で走行性が高く、中長距離ライドに適したスポーティーな車両で、スタイリッシュに移動を楽しんだり、いつもと違う加速を体験したいユーザーへの使用が推奨されている。

「HELLO CYCLING」からは、電動アシスト自転車(シティサイクル・左)とKUROAD Lite(スポーツタイプ・右)が利用可能な車体として発表された。
一方の「Lime」からは、新機種となる電動アシスト自転車「LimeBike(ライムバイク)」が導入予定であることが発表された。これまで同社では、電動キックボード、及び着座式の電動シートボードの2機種のラインナップによりサービスの展開を図ってきたが、そこに「LimeBike」という新しい形態のモビリティが追加される形となる。
これは「Lime」の主要ユーザー層である欧米豪からの訪日観光客が、日本滞在中も使い慣れたサービスを利用するために導入されるもの。アジアへの導入は今回が初のケースだという。

Limeから提供が発表された電動アシスト自転車「LimeBike(ライムバイク)」。アジア地域で初めて提供される予定の、新車体となる。
また、今回の提携に伴い、両社は日本の交通ルール遵守とマナー向上にも更に注力する構えだ。「Lime」では、訪日外国人に対し日本到着時に同社のアプリを通じて日本国内における交通ルールやマナーを多言語で案内しており、一方の「OpenStreet」は地域自治体や関係機関と連携し、安全講習や啓発活動を継続的に実施することで、誰もが安心して利用できる環境づくりを進めている。
訪日外国人のLimeアプリの画面。日本到着後にLimeのアプリを起動すると、二段階右折厳守などといった日本独自の交通ルールや、駐輪枠内への返却の徹底について注意喚起画面が最初に立ち上がる。
加えて、両社は行政・地域社会・教育機関と共に、最先端技術を活用した交通安全対策(例:アプリ内警告・乗車前必須テスト)の紹介や利用者教育、安全講習を推進することで、日本の交通ルール遵守とマナー向上を目指すとしている。
国内最大級シェアサイクルと世界最大級の電動モビリティの、初の協働
両社によれば、世界最大級の電動モビリティサービスと国内シェアサイクルサービスが連携するケースは、今回が初めてだという(2025年9月時点、両社調べ)。サービス提携に対応する地域やポートの情報は、開始時に順次公表される予定だが、今回の提携は、国内におけるモビリティシェア市場の大きな潮目となる可能性を秘めており、今後の続報が待たれるところだ。






