駐車場シェアリングサービス「USPACE」を運営する株式会社ユースペース(以下、ユースペース)は2024年7月17日、国内屈指のスペースシェアリングのベンチャー企業である、軒先株式会社(以下、軒先)の全株式を取得したことを発表した。

台湾の新鋭企業と日本のパイオニア的存在

ユースペースは2016年、個人宅やマンション、事業所などの空きスペースをアプリを介し駐車場として貸し出すことができるシェアリングサービス「USPACE」を導入。以来、年間収益は3~5倍に成長し、急速に規模を拡大。日本市場には2020年に上陸、大手企業との連携等により、着実にシェアを獲得してきた。

一方の軒先は、未だシェアリングエコノミーの概念が認知されてない黎明期より、一貫して同サービスに携わってきた、業界の先駆け的存在。だれでも簡単に店舗が開ける「軒先ビジネス」、既存飲食店の空き時間を活用して開業できる「magari」など、複数のスペースシェアサービスを運営しており、分けても駐車場のシェアシステム「軒先パーキング」は約33,000ヶ所の駐車スペースを保有し、トップカンパニーの一社として重きをなしている。

「軒先」子会社化の背景

そんな両社が今回の決断に至った背景として、ユースペースが抱く将来への展望と、日本の駐車場市場の将来性の高さが挙げられる。

ユースペースは本国・台湾において「USPACE」を皮切りに、テスラのシェアリングサービスや、スーパーチャージングステーションの運営、空港への送迎サービス等、幅広く事業を展開。並行してタイ、マレーシア、インドネシアやオーストラリア等、海外への事業展開を通じ、アジア全域での市場シェア拡大を目指している。

その足掛かりとして同社が着目したのが、日本市場だ。日本は、土地が狭く人口密度も高いため、駐車需要が非常に高い市場であり、その市場規模は台湾の40倍にも及ぶという。また、日本では駐車場のデジタルトランスフォーメーション(DX)が進んでおらず、多くの駐車場が未だにアナログ且つ非効率な経営・管理に甘んじている、という現状がある。

このような課題に対し、ユースペースは、自社が台湾で培ってきたIoT技術・AI技術を活用し、国内駐車スペースの利用効率を向上することで、利用者の便益と自社のシェア拡大の両立を図る。そして、そのイノベーションを大規模に推進するため、業界屈指の広範な駐車場ネットワークを保有する軒先の全株式の取得を決断するに至ったのだという。

今後の展望

記者会見で明らかにされたところによると、今回の株式取得後も、ブランドの統合は行わず、軒先の社員は引き続き同社に在籍し、市場開拓を進める予定だという。

また今回の連携に伴い、双方のプラットフォームで、両社の駐車場を導入、公開する予定であることも発表された。具体的には、ユースペースのサービスにおいても、軒先パーキングの広範な駐車場ネットワークが検索・予約できるようになる。

加えて「軒先パーキング」は、これまで日単位での料金設定を採用していたが、ユースペースのIoT技術の導入により、即時に駐車スペースの検索・予約が可能となる。また、繁忙期と閑散期、時間に
応じた柔軟な料金設定も可能になるなど、消費者にとって更なるユーザビリティの向上が期待できる。

今回の買収により、ユースペースは台湾・日本で2,000以上の駐車場と約9万の駐車台数(車室数)、140万人以上の会員を有する、アジア最大のスマート駐車場プラットフォームとなった。
その数もさることながら、サービスの「質」の向上という側面においても、この度の一挙が市場の大きな転換点となることは、間違いないだろう。

会社概要

株式会社ユースペース
所在地:東京都千代田区九段南3丁目4-5 202 ビラ・アペックス市ヶ谷
代表者:代表取締役 宋捷仁
設 立:2020年1月
URL: https://japan.uspace.city/

軒先株式会社
所在地:東京都港区赤坂8-4-14 青山タワープレイス8F
代表者:代表取締役 西浦明子
設 立:2009年4月
URL: https://www.nokisaki.com/

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