SDV化を強力に推進するボルボ。「EX60」から採用が始まるSPA3の革新性
2030年に全車EV化する計画だったボルボが、市場ニーズの変化に対応するために電動化の目標スケジュールを調整すると発表したのは2024年9月のこと。2030年までに全世界の販売台数のうち90〜100%をEVとPHEVの組み合わせで達成、残る0〜10%は状況に応じてMHEVも残すとしている。
とはいっても、2040年に温室効果ガスの排出を正味ゼロにする目標は不変であるとされた。それを裏付けるように、2025年3月にはEX90に続くSDV(Software Defined Vehicle)の第2弾としてフラッグシップEVセダン「ES90」を発表するなど、その進化の手綱はいささかも緩めていない。

現時点でボルボの最新SDVは2025年3月に発表された「ES90」。こちらはSPA2アーキテクチャーを採用する。
もっとも、EX90、ES90ともにSPA2と呼ばれる従来型アーキテクチャーを基盤としている点ではまだ進化の途上にある。それを一新した次世代SDVアーキテクチャー「SPA3」を採用するのが、2026年初頭に正式発表される新型ミッドサイズSUVの「EX60」だ。現行型XC60の後継車として、すでにその存在は明らかにされている。

SPA3アーキテクチャーの概念。スケーラブルなEVプラットフォームの上に車載OSとソフトウェアが重層的に重なる。
「SPA3」は本格SDVの量産化時代到来を告げる一大プロジェクトでもある。簡単に言えば、EX30より小さなクルマからEX90よりも大きな車両までカバー可能で、ソフト/ハードともに共通の基盤(SDVプラットフォーム)が用いられる。その採用車第一弾が「EX60」というわけだ。

「EX60」から本格採用が始まるギガキャスト(アルミ鋳造一体構造)によるアンダーボディ。