2025年6月17日、ホンダは再使用型ロケットの離着陸実験に初めて成功し、高度271.4mへの到達や着地精度などの技術を実証した。現在は要素研究の段階で事業化は決定していないものの、2029年の準軌道到達能力実現を目標に、引き続き開発を進めていくという。
陸・空に続いてロケット分野にも進出か
ロケットには毎回ゼロから機体を製造する使い捨て型ロケット(ELV)と、繰り返し使える再使用型ロケット(RLV)の2種類があり、再使用型ロケットは打ち上げコストを大幅に低減できる可能性があることから、現在世界各国で研究・開発が進められている。
ちなみに、かつてのスペースシャトルや現在注目を集めるスペースXのスターシップでも、ロケットの一部を再利用する程度にとどまり、ロケット全体を再利用できるモデルはまだ存在していない。

“ホンダロケット”は全長6.3m、直径85cm。
ホンダは2021年に宇宙開発に着手し、製品開発で培ってきた燃焼技術や制御技術など自社のコア技術を活かして、再使用型ロケットの開発に取り組んできた。
今回ホンダが行なった実験は、ロケットを再使用する際に必要な技術の実証を目的に、上昇・下降時の安定性や着陸機能を確認するもので、到達高度271.4m、着地位置の誤差37cm、飛行時間56.6秒を記録し、技術的な目標を達成した。
【国内民間初】ホンダがロケットの離着陸実験に成功!(提供:ホンダ)
www.youtube.com同社によると、現在は要素技術の研究段階で、宇宙事業の事業化は未定だそうだが、2029年に準軌道への到達能力実現を目標に開発を続けていくという。
※準軌道(サブオービタル)飛行:第一宇宙速度(地球に落下せず周回飛行する最低速度)を超えず、宇宙空間到達後、地球に戻ってくる飛行形態。弾道飛行とも呼ばれる。
バイクに始まり、クルマ、飛行機と挑戦を続けてきたホンダの次なる取り組みとして、宇宙開発事業にも期待したいところである。