2025年6月16日、将来宇宙輸送システムとSPACE COTAN(スペースコタン)は、北海道スペースポート(HOSPO)のロケット射場開発とその利用にかかわる基本合意書を締結した。

\記事を読む前に知っておきたい!/
将来宇宙輸送システムのこれまでの歩み

再使用型ロケットを北海道から打ち上げる計画が始動

将来宇宙輸送システムは、宇宙往還を可能にする輸送システムの構築を目指す日本のスタートアップ。2020年代後半には人工衛星打ち上げ用の再使用型宇宙輸送システムを完成させ、2040年までには国際競争力のある有人宇宙輸送システムを実現することを目標としている。

これまでに、ロケットエンジンの燃焼試験と着陸脚装置の落下試験を実施し、2025年内にアメリカのニューメキシコ州で垂直離着陸型の宇宙ロケットの打ち上げ・着陸実験を行う予定であるなど、おおむね順調に開発は進んでいるようだ。

画像: 2025年内にアメリカで打ち上げ実験を行う「ASCA 1.0」のイメージ

2025年内にアメリカで打ち上げ実験を行う「ASCA 1.0」のイメージ

ちなみに、本田技研工業(以下、ホンダ)も垂直離着陸ロケットの開発に取り組んでおり、2025年6月17日に北海道スペースポートそばのホンダ専用実験設備にて、初の離着陸実験に成功している。日本の民間企業初の垂直離着陸ロケットとしての座はホンダに先を越されたものの、将来宇宙輸送システムも国内2社目として後に続けるかに注目が集まっている。

北海道スペースポートは北海道大樹町に位置し、東と南の海に面し幅広い軌道傾斜角へのアクセスが可能であるほか、海上航路や航空路との干渉が少なく、打ち上げ時の安全性やスケジュール調整の容易さが利点として挙げられる。また、東京から約2時間半でアクセス可能で、施設の滞在環境も充実しているというメリットもあるという。

今回の合意で、将来宇宙輸送システムは同社のロケット「ASCA 1.2」の試験機1号機について、北海道スペースポートからの打ち上げに向けた射場運用計画の立案を進めることになった。この計画では、100kg級小型人工衛星の打ち上げ、軌道投入、そして第1段機体の回収が予定されている。

画像: 北海道スペースポートからの打ち上げが検討されている「ASCA 1.2」のイメージ

北海道スペースポートからの打ち上げが検討されている「ASCA 1.2」のイメージ

将来宇宙輸送システムは、2023年12月に同スペースポートで日本初となる「トリプロペラント方式」の燃焼試験を成功させた実績があり、今後も技術情報提供やフィージビリティ確認を進めることで具体的な射場運用計画の立案を目指すとしている。

参考:トリプロペラント方式(Tri-propellant:3つの推進剤)とは
ロケットエンジンの燃焼方式のうち、3種類の推進剤を用いたシステムのこと。将来宇宙輸送システムでは水素・メタン・酸素を使い分けて運用される。
大気圏外では一般的なロケットエンジンと同様に密度が小さく比推力の高い水素燃料を使用し、大気圏内の推力はメタン燃料も加えることにより、液体水素の使用量を低減可能だ。再使用型ロケットは従来型の使い捨てロケットよりも機体重量の制約がシビアであるため、液体水素タンクの小型化はすなわち機体の軽量化につながる。

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