波乱含みの電動化推進。ホンダは全社を挙げて勝ち残りを目指す
2023年は中国EVメーカーが世界市場を席巻した1年だったが、今年は欧米メーカーを中心に熾烈な巻き返しが始まりそうな気配だ。これに地政学的なリスクも加わり、サプライチェーンの安定化など各自動車メーカーはさまざまなに知恵を絞って、カーボンニュートラル実現と自身の生き残りを図ることになる。
そんな期待と不安が入り混じる2024年はまだ始まったばかりだが、いち早く手を打ってきたのがホンダだ。2024年1月22日、ホンダは本年4月1日付で行われる組織運営対策の変更を発表した。先日もCES2024で新たなEV時代の幕開けを告げる「0(ゼロ)シリーズ」の発表を行ったばかりだが、次の一手として社内の組織運営にもメスを入れてきたのだ。
改革の中心は四輪事業領域への大幅な権限移譲・機能・役割拡大
今回発表のされたのは、「四輪生産本部の新設」、「サプライチェーン購買本部の新設」、「品質改革本部の新設」。現在、取締役会→経営会議の下には「コーポレート戦略本部」と「コーポレート管理本部」のふたつの本部が置かれているが、それと同じ機能・役割そして権限が新設される3つの本部にも与えられるようだ。
いずれも四輪事業分野の体質強化であり、四輪・二輪を問わず電動化戦略が一層加速することになる。この3本部から、いまだ混沌とする電動化時代を勝ち残るための方策が今後続々と発表されるだろう。各本部の新設目的・役割は以下のとおり(広報発表より抜粋)。
●四輪生産本部
「各事業本部・地域本部・機能本部との連携を深めながら、品質強化や生産体質の高位平準化を実現すべく四輪生産本部を設置する。この本部に四輪事業本部の生産統括部および生産技術部を統合し、電動化やカーボンニュートラルの実現に向けたグローバル連携およびリソースの最大活用を図る」
●サプライチェーン購買本部
「四輪事業本部のサプライチェーン購買本部を新設する。購買企画機能強化、次世代のSDVアーキテクチャーに即した業種体制の構築を始めとする電動化時代のQCD向上を図る」
●品質改革本部の新設
品質改革統括部、品質監理部、認証法規部を統合し、品質改革本部を設置する。デジタル観点での品質保証やサイバーセキュリティなど、全社品質ガバナンスの強化を図る」
電動化をスピードアップさせるための組織体制の基盤は整った。何が起こるかわからない時代を乗り切るために、さて、これからどんなことが起こるのか。ホンダの飛躍に大いに期待したい。