EV専業メーカーとして快走を続けるテスラが、5月18日に株主総会を開催しました。そこで明らかになったことと、3月1日の「インベスターデー」での発表内容を合わせて紹介します。テスラが描く壮大なビジョンには改めて驚きを感じざるを得ないでしょう。(タイトル写真はYouTubeで配信された株主総会の模様)

「キーパーソンリスク」は株主決議で否決

ウクライナのゼレンスキー大統領も参加して大いに注目を集めた先週のG7広島サミットですが、その首脳宣言においても、輸送部門のCO2削減に関して、「我々は、2035年まで又は2035年以降に小型車(※1)の新車販売の100%又は大宗(※2)を排出ゼロ車両にすること、2035年までに乗用車の新車販売の100%を電動車とすること、(後略)」と明記されました。昨年来、EUや米国は厳しいCO2排出規制を発表し、中国自動車メーカーはそのEV事業を大いに躍進させています。※1:原文はLDVs(Light Duty Vehicles–軽積載車両)。※2:大部分、おおかたの意。

日米欧のいわゆるレガシー自動車メーカーもEVの開発・生産計画を加速させており、主要市場におけるEVの販売競争が激化する中、昨年130万台のEVを販売して先行するのがテスラです。同社は過去一年に市場によっては20%もの値下げを行い、今年第1四半期も42万台を販売して、欧州でモデル別販売でNo.1、米国ではピックアップトラックを除くモデルで首位、中国でもSUVクラス(クロスオーバー含む)でトップと快走を続けています。

画像: 2022年のメーカー別 EV生産台数。

2022年のメーカー別 EV生産台数。

EVの開発でリードしてきたテスラの最新の動きを、5月18日に開催された株主総会と3月の「インベスターデー(Investor day)」から探ってみたいと思います。どちらの会合も、機関投資家や抽選で選ばれた一般株主などをテキサス工場に集めて開催されました。

株主総会は、まず冒頭で、株主提案に関する投票と決議が行われました。機関投資家からは、一人の強力なリーダーに依存するリスク(キーパーソンリスク)を評価してレポートすべき、コバルトなどの電池用貴金属の採掘における幼児労働の有無などサプライチェーンの人権侵害の有無を第三者機関に調査させて報告すべき、などの6つの提案がされました。「キーパーソンリスク」は取締役会の反対表明を受けて株主決議で否決されました。事務的に進んだ決議の後にイーロン・マスクCEOが登場し、3月1日のインベスターデーで発表された「マスタープラン3」のハイライトを示しながら話を進めました。

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